校長 ごあいさつ

“Global Education 3.0” の進化と深化

 わが国の教育制度改革は、結果として大きく後退することになりました。大学入学センター試験に代わる大学入学共通テストに向けた審議では、大学入試センターが実施する2技能と外部団体が行う資格・検定4技能試験の取り扱いは2019年秋になっても不透明であり、受験生個人のスコアを志望大学に提供するシステムは更に混迷を極めていました。結果として英語4技能は仕切り直しとなり、数学と国語の記述問題も中止になったのです。

 何れにしても、わが国の教育制度改革はグローバル人材を輩出することを念頭に置いていた筈ですが、変容するグローバル社会を見据えたものとは、ほど遠い方向に進んでしまいました。そんな中で「工学院の英語教育」は海外大学への入学や、学びの場で必須な4技能英語力を習得し、議論や論文などで求められる探求知はLogical thinkingやCriticalthinkingによって、さらに深めていきます。

 附属中高の教育は “Global Education 3.0”を目指してきました。つまり”Global immersion”を学内に構築し、授業の基本的な形は“PBL×STEAM教育”として充実させることです。また思考力が学力の中心の一つであることが認識されたことにより、論理的思考力が重要視されていますが、更に“創造的思考力”を育みICTスキルを“Web3.0”まで高め、CEFRの“C1英語”を目指す英語のカリキュラムと指導法を工夫する。最後に“Global 高大接続指導”を普通にできるような教師集団になっていくことです。残念ながら日本の大学は低次思考の教育に終始しており、世界の大学では高次思考の教育が当たり前に行われていることを考えれば、高大接続指導は従来の常識では大きな間違いを犯す可能性すらあります。

 ご存知のように『持続可能な開発目標(SDGs)』は、2015年9月に国連サミットで採択されたものですが、人類は15年間でこれらを達成しなければならないとして掲げたものです。これは単なる目標として定められたものではありません。世界の国や人たちが真剣に立ち向かい解決しなければ、「人類に未来はない」ことを突きつけた課題であります。つまり、未来は今の大人たちのものではないのです。それは世界中のティーンエイジャーやシングルエイジ、そして、これから誕生する人たちを含めた未来の人たちのものです。次の世代へ次々とバトンを繋いでいかなければ、人類にも地球にも未来がないことが見えてきたのです。工学院では“Global Goals”を認識するだけなく、ゴールに向かって何ができるかを検討して従来の修学旅行を発展的に解消し“Global Project”を計画しました。2019年12月に高校2年生が沖縄・タイ・カンボジャ・アメリカで、それぞれの目標を実践してきました。“Global Goals”を達成するには、世界で共有する新しい「教育システム」と「学び」を築くことが必要になると考えます。2020年に工学院は新たなグローバル教育に挑戦します。

 末筆になりましたが、工学院大学附属高等学校同窓会の益々の発展と、先輩諸氏のご健勝とご活躍をお祈りいたします。